最近、大手事業者以外による地域通信インフラ整備の事例がたくさん出てきています。通信インフラ整備は民間主導が原則であり、これまでの主役は大手通信事業者でした。しかし、昨日の文章でも書いたとおり、多くの地域では大手通信事業者もはや積極的に整備を行わないという方向になってきました。
そういう地域では誰が地域通信インフラを整備すればいいのか。今はまだ先進事例しかないわけですが、それらの先進事例を少し分類して、地域通信インフラ整備を行う主体はどういうものかを考えてみます。
★こんな3種類の主体が事例を引っ張っています。
1) 自治体
2) 地域密着型の民間企業
3) NPOや市民団体
★自治体による整備はどういうパターンか
これはある意味でかなり古いものとなってきました。自治体による整備については、今後別項で延々とわかっていることをまとめていくつもりなのであまり詳しくは述べませんが、自治体の事例には大きく分けて中間自治体(都道府県)レベルと基礎自治体(市区町村)レベルの2レベルがあります。
中間自治体レベルの事例は、基本的に都道府県単位で「情報ハイウェイ」を構築し、それを民間に開放するというものです。(もちろん、民間に開放しない事例も、自治体の情報通信政策としては重要な意味を持っているのですが、一般利用者や一般企業などが利用できる地域通信インフラの観点から見ると、開放されない情報ハイウェイはほとんどインパクトを持ちません。このため、ここではそのような事例は除いて考えます)
中間自治体レベルのインフラ整備は古くは1997年の岡山情報ハイウェイから始まり、今では非開放のものも含めると過半数の都道府県に及んでいます。通信事業の世界でこの7年というのは非常に長い時間なので、始めのころに採用されたモデルと、最近の情報ハイウェイのモデルは大きく異なりますし、時期によってその評価も異なってくるところです。このあたりは稿を改めます。
また、ここ2年くらいは基礎自治体による試みも始まっています。ここ2年間のADSLをはじめとするブロードバンドの進展によって、都市部とそれ以外の地域のインフラ整備状況に決定的な差が生じることが明らかになり、そう簡単にはその差は埋まりそうにないということがわかってきました。基礎自治体の地域通信インフラ整備の試みが出てきている背景には、このことがあるのではないかと思われます。
基本的には中間自治体の試みは都道府県レベルの地域バックボーン整備であり、基礎自治体の試みはアクセス網整備だと考えてよいと思います。
★地域密着型の民間企業の試みとは。
このような企業の典型例は、CATV事業者です。CATVはもともと地域密着型で、CATV整備の経緯からほとんどの地域では1地域に1つのCATV事業者しかなく、横展開もあまりされていません。このため、CATV事業者は地域密着型にならざるを得ません。ただし近年では既存CATV事業者の買収によってカバー率を増やしている例もあります。
地域密着型の事業者は、もともとその地域で事業をするために作られていますから、大手事業者のように「採算性が合わないからその地域に来ない」というようなことはありません。また地域密着型事業者の多くは、公共的な考え方をもっています。このようなことから、多少採算性が悪くてもその地域にとどまり、地域住民や地域企業のニーズを取り込んでサービスを提供し続けるケースが多いのです。このような企業を自治体が積極的に支援するケースも少なくありません。
このような企業の例としては、三重県を中心にサービスを展開しているCATV事業者ZTVや、兵庫県のADSL事業者である関西ブロードバンドなどがあります。アクセス網整備ではありませんが、秋田県の地域IXを運営しているデータコアもこのような事業者のひとつだと考えてよいでしょう。
★NPOや市民団体。
最後の主役は、NPOや市民団体です。自分の住んでいる地域にたまたま地域密着型の事業者がいればいいのですが、CATV事業者以外で(不採算)地域で通信事業者を立ち上げるケースというのは大変稀ですから、CATV事業者がもともとなければ、そこには期待できません。自治体も動きが遅いところと早いところがありますので、たまたま遅いところにあたってしまったら自治体への期待もできないことになります。
そこで、NPOや市民団体が自分たちのために地域通信インフラ整備を推進するというケースが出てきます。そのような組織は財政基盤が弱い場合がほとんどですから、自らの事業収入で物理的なインフラを構築するというのは難しい場合もあります。このため、NPOは他人のふんどしを借りて整備を進める活動をする場合が多いです。
(これをNPOや市民団体が整備しているというかどうかは微妙ですが)通信事業者にサービス提供のための働きかけをしたり、自治体に働きかけをしたりする場合もあります。ただ、無線系のインフラの場合には費用が比較的少ないので、NPOや市民団体でもインフラ構築が可能な場合があります。
このパターンの事例には、みあこネットや南房総IT推進協議会のインフラ整備などがあります。また、マンハッタンの多くの地域を野良ホットスポットで多い、中継も行うNYCwireless の活動も、このパターンに当てはまると言えるでしょう。
それぞれ非常に簡単な説明になってしまいましたが、本日はとりあえず概観ということで。ここまで。
コメント(0)| Track back(0) | 2004-04-19 23:14:24
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