[くまをとる]

情報関連政策が難しいわけ(1)

一般に情報関連政策を考えることというのは、難しい。特に産業振興策なんていうとすごく難しい。それが何故かと言えば、基本的に先が見えないからだ。

今日は簡単になぜ情報関連政策が難しいのか、理由を整理しておきたい。

★インターネットの普及と情報化関連施策
さて、インターネットの歴史を非常に簡単に振り返ってみたい。日本にある程度の規模でインターネットが入ってきたのは、学術コミュニティだった。大きく分けて二つの系統があり、一つはWIDEプロジェクト、一つはSINETだ。だいたい1988年か1989年ごろにかけて導入されている。

WIDEプロジェクトは僕のもっとも世話になった師の一人である村井純が代表をしている、産学共同プロジェクトで、大学と企業がお金を出し合って作ったと言ってもいい。WIDEプロジェクトができた頃、日本の通信事業は民営化されたばかりの状況であり、通信サービスはすべて電話をベースに構築されていた。このことは非常に多くのことを示唆しているのだが、ここでは専用回線がバカ高かったとだけ書いておこう。WIDEプロジェクトは当初から日本をカバーする形でバックボーンを形成していたが、その費用の多くを企業からの研究資金や参加組織からの資金で賄っていたところに特徴がある。世界でも非常にめずらしい、民間ベースの学術通信インフラなのである。が、このあたりは今日の本題ではないので割愛。

もう一つはSINET(学術情報ネットワーク)だ。これは文部省が運営しているネットワークで、大学や研究機関はこれを利用することが出来る。国の予算をベースに、当時としては非常に充実した回線を持っていたが、えーと、この先は割愛。

さて。そのわずか5年後にはインターネットの商用利用が始まっている。それまで、日本でインターネットを使っていた人などほとんどいなかった。利用していたとしてもせいぜいパソコン通信であり、そもそも、インターネットは大学や研究機関でしか利用できなかったため(WIDEプロジェクトに加入していた企業ユーザーを除く、ただしそのためには共同研究に参加する必要があった)、多くの人はそもそも使いたくても使えなかった。インターネットの商用利用は、「金を払えば誰でもインターネットが使える」という環境を初めてもたらした。

インターネットの一般利用はここから始まっている。

そこから順調に普及してきたインターネットだが、情報化関連施策も次々と打ち出されてきた。1995年には高度情報通信社会推進本部がつくられ、行政情報化が進められてきたし、2000年にはIT戦略本部がつくられ、そこでも多くの施策が作られてきた。これらはみなインターネットを前提としていたと考えていい。

しかし、問題はインターネットが爆発的に普及するに従って、施策もそれに追いついて行かなくてはならなかったことだ。

★インターネットの衝撃
さて、言うまでもないことだがインターネットは非常に大きなインパクトを社会にもたらした。情報化社会という言葉はインターネット以前にもあったが、当時はそんなに具体的なイメージを伴っていなかった。インターネットは非常にわかりやすい形で「情報」を目に見えるようにしてくれた。例えばメールやウェブだ。また、コンピュータ同士が勝手に通信して機能するなんて状況も、一般利用者にとってはインターネットが普及して初めて現実的なものとなった。

それ以前にも例えばOA化やオンライン化は進んでおり、例えばオフィスに情報機器が導入されたり、銀行のATMなどを始め様々なシステムがオンライン化されたりはしてきたが、一般利用者が日常的にネットワークを利用するようなことは、インターネット以後に初めて可能になった。情報化の大衆化と言ってもいいかもしれない。

インターネットの商用利用が開始されてから、年率2倍近い速さでインターネットは普及した。今ではFAXよりもインターネットの普及率の方が遥かに高いし、ブロードバンド接続での利用者も、日本の世帯数の1/4にあたるくらいだ。

その普及の過程で、初めて政府や自治体は情報化関係の政策に本気で取り組まなくてはいけなくなった。インフラの整備も行わなければならない。政府や自治体そのものの情報化にも取り組まなくてはいけない。一人一台パソコンにしろと言われるし、政府や自治体の持っている行政情報はすべてオンラインにしろと言われる。たった10年で、政府や自治体は劇的な変化にさらされることになる。

と、長くなりそうなので、今日は前置きだけで。本編は明日書きます。

コメント(0)| Track back(0) | 2004-06-04 23:49:04

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