[くまをとる]

(地域)情報化の本質を考える1

地域情報化、あるいは情報化って何だろう、という定義は人によって大変異なる。ここでは一般的な定義よりもかなり踏み込んで考えてみたい。といっても、今日は調べもの編で。まだ考えは全然まとまっていません。何度も書いてみることによってまとめて行ければと考えています。

★政府の情報化の定義
まず、IT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)を見てみよう。定義にはこう書いてある。

「この法律において「高度情報通信ネットワーク社会」とは、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会をいう。」

「創造」と「活力」のために、情報技術を使えるような社会をゴールにしている。ここには本質的な社会の変容は想定されていない。今の社会が活性化され、より創造的になることを目指している。まあ、基本法であまり踏み込んだことは言えないのかも知れない。

じゃあ、e-Japan戦略ではどう言っているか。次のようなことになっている。

「我が国は、21世紀を迎え、すべての国民が情報通信技術(IT)を積極的に活用し、かつその恩恵を最大限に享受できる知識創発型社会の実現に向けて、既存の制度、慣行、権益にしばられず、早急に革命的かつ現実的な対応を行わなければならない。」

ここでは知識創発型社会だ。これはIT基本法よりはかなり踏み込んでいるように思える。続く理念の部分では、情報技術の発展によって、「世界は知識の相互連鎖的な進化により高度な付加価値が生み出される知識創発型社会に急速に移行していくと考えられる。」としている。知識の連鎖が付加価値を生み、それが社会の中心となる社会なのだろう。

次に、e-Japan戦略II(pdf)の定義を見てみよう。実はe-Japan戦略IIはe-Japan戦略の延長線上に位置づけられるためか、一言でずばり情報社会の定義をしている部分はなく、そのかわりに新たな価値に基づいた社会を築き上げなければならないとし、「目指すは、国民一人ひとりが知識を介した繋がりを持ち、地理的・身体的制約にとらわれずに安心して暮らし、利便性のみならず知的感動を享受できる、「元気・安心・感動・便利」社会である。」としている。この定義は他の定義と比べて異質だ。それは「社会」の側からの視点ではなく、「利用するひとりひとり」の側からの視点だからだ。

では、地域情報化についてはどうなっているか。2000年に出された、地域IT推進本部の「IT革命に対応した地域公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」を見てみよう。以下のようになっている。

「国における電子政府の実現に向けた取組を踏まえ、地方公共団体がIT革命に的確に対応していくためには、第1に地方公共団体の電子化(電子自治体)の実現を図ること、第2に地域の社会・経済活動の活性化に資するための情報基盤の整備に取り組むことを基本とし、以下の諸点に十分配意することが必要である。 」

そしてそれに、「高度、多様化する住民ニーズに対応した質の高い行政サービスの提供」「情報通信基盤の整備による社会・経済活動の活性化」「事務処理全般の見直しによる行政の簡素・効率化及び透明化」の3点が続く。要は、行政の情報化と、基盤整備による地域活性化ということだ。他のものに比べてかなり具体的なものになっている。理念については国のものを引き継げということだろう。ただ、この指針は自治体がどうすべきかを示すもので、他の文書とは少し性質が違うところは考慮に入れておかねばなるまい。

★自治体の定義する情報化
都道府県のすべて、市区町村の多くが情報化の基本計画を策定しており、それらには何らかの形で地域情報化の定義が含まれるので、世の中にはたくさんの地域情報化の定義のサンプルがある。とても全部を追いかけるわけにはいかないが、ここではgoogleで「地域情報化計画」と入力して出てくる自治体の基本計画を、最初から5つ取り上げてみよう。

最初は東京都小笠原村だ。と思ったが、残念ながらここには情報化の定義がない。

2番目は愛知県瀬戸市だ。うーん、しかしこの計画にも情報化の定義らしいものはない。「インターネットに代表される情報通信技術(IT)の進展は、地域のみならず全国的な社会・経済活動に大きな変化をもたらし、急速にデジタル・ネットワーク化が進行しています。<中略>行政が関わる市民生活・産業及び観光といった分野に情報化の潜在ニーズがすでにもたらされ、早急に具体策を示さなければならない状況にあるといえます。」と、現状認識が書いてあるだけに過ぎない。残念。

3番目は鹿児島県鹿児島市だ。97年のものと02年のものがあるが、ここでは02年のものを参照してみよう。うーん、しかしここにも情報化の定義はない。現状認識のあと、「健やかに暮らせる都市」「安全で安心して暮らせる都市」「便利で快適な市民生活が送れる都市」「豊かな心と個性をはぐくむ都市」「多彩な交流が広がり、活力溢れる都市」「市民がまちづくりへ自発的に参画する都市」という6つのビジョンが並べられているだけだ。(視点がe-Japan IIと似ていて、しかもe-Japan戦略よりも早いことに注意。実はこういう視点はかなり早くから自治体の情報化基本計画にはよくあるタイプなのです)

4番目は、神奈川県平塚市で、2000年に策定されたものだ。基本計画と具体計画があるが、ここでは基本計画についてみてみよう。地域情報化の位置づけには、以下のようにある。

「平塚市では、これまで、市民生活の利便性の向上や地域産業の振興などを主な目的として行う「地域の情報化」と、行政事務の効率化・高度化などを主な目的として行う「行政の情報化」を個別に推進してきました。<中略>そこで、本プランでは、行政の情報化を地域情報化の一部ととらえ、地域の情報化と行政の情報化を統合して「地域情報化」と位置付けます。」

つまり、ここでは地域情報化を「行政情報化」+「市民生活利便性向上」+「産業振興」(+α)と位置づけている。

5番目は北九州市で、これも2000年に策定されたものだ。ここには、以下のように書いてある。

「こうした特性により、「いつでも、どこでも、だれでも」が必要な情報を、広い選択肢の中から、速く、正確に得ることができるようになります。またそれを応用できる範囲は生活や社会のすべての分野に及び、わたしたちのあらゆる活動の基盤となりうるものです。
 つまり、「情報化」の進展により従来あった多くの制約が取り払われ、わたしたちの生活はより便利で快適なものとなり、地域の産業経済活動の活性化も図られるなどの効果が期待できます。その適切な推進は、地域発展の大きな鍵を握っているといえます。」

つまり、情報を得て応用するできるようになることで、市民生活の利便性が高まり、地域経済活性化が起こる。これが情報化の本質だと言っている。

★暫定まとめ1
情報化の定義にいろいろあるということは知っていたが、自分なりの考えをまとめるにあたって調べて書いてみる作業を続けているうちに、いろいろ発見がある。

1. 自治体の多くは情報化を定義していない。国に与えられた定義を受け入れているのか、深く考えていないのか、それともあえて避けているのか。

仮説: 「情報通信に関係する施策のセット」の具体的イメージがあり、それを全部まとめたものを便宜上情報化と呼んでいるのであって、「情報化のために施策を考える」という流れになっていないのではないか? だから、具体的な施策のリストがあるのに情報化に関する説明がない自治体があるのではないか?

2. 「社会をこうする(社会はこうなる)」という考え方と、「国民・住民にとってこんな利便性のあるものにする」という二つの考えがありそう。e-Japan II は後者の考え方だが、意外に多くの自治体ももっと早い段階からこのアプローチを取っている(そして総花的な施策のセットを作ることになる)。

仮説: 一部の自治体の方が政府よりも、情報化のあり方についての考え方が進んでいるのではないか?

3. 多くのところで、「住民の利便性」+「経済活性化」が情報化の本質だと言っている。うーん、これは短絡的過ぎないか。

仮説: この定義は自治体や政府が提供するサービスから見た情報化のあり方の説明であり、その立場から一面を切り取っているに過ぎない?


うーん、引き続き作業してみます。

コメント(0)| Track back(0) | 2004-05-22 23:18:20

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